プラスナイススタッフコラム不動産不動産売却益とふるさと納税の関係|控除上限の考え方

スタッフコラム

2026.08.21 NEW 人 気

不動産売却益とふるさと納税の関係|控除上限の考え方

土地や戸建て、マンションなどを売却して利益が出た年は、ふるさと納税の控除上限額が通常より増える可能性があります。しかし、売却代金が高かったからといって、そのまま寄附額を増やしてよいわけではありません。判断の基準になるのは、取得費や売却費用、適用できる特別控除を差し引いた後の「課税譲渡所得」です。不動産売却益とふるさと納税の関係を正しく理解し、自己負担が想定以上に増えることを防ぎましょう。

不動産を売却するとふるさと納税の上限額は増える?

ふるさと納税は、自治体への寄附額のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで所得税と個人住民税から控除を受けられる制度です。控除上限額は、所得や所得控除、個人住民税の所得割額などをもとに決まります。

不動産売却によって課税譲渡所得が発生し、所得税や住民税の負担が増える場合は、自己負担を2,000円程度に抑えられる寄附上限も増える可能性があります。ただし、不動産を売却しただけで、必ずふるさと納税の上限額が増えるわけではありません。

売却価格と売却益は異なる

不動産の課税譲渡所得は、原則として次のように計算します。

課税譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除額

取得費には、不動産の購入代金や購入時の仲介手数料、一定の改良費などが含まれます。建物については、所有期間中の減価償却費相当額を差し引く必要があります。譲渡費用には、売却時の仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却のために行った建物の解体費などが該当します。

たとえば、3,000万円で売却しても、取得費と譲渡費用の合計が2,700万円であれば、売却益は単純計算で300万円です。売却代金の3,000万円全額が所得になるわけではありません。

取得費が分からない場合は注意が必要

相続した不動産や購入時期が古い物件では、購入時の売買契約書などが見つからないことがあります。取得費が分からない場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算できる制度があります。

ただし、概算取得費を使うと、実際の購入価格を取得費にできる場合より譲渡所得が大きくなる可能性があります。その結果、税負担だけでなく、ふるさと納税の上限額も大きく変わることがあります。購入時の契約書、領収書、通帳、住宅ローン関係書類など、取得費を確認できる資料を早めに探しておきましょう。

3,000万円特別控除を使うと上限が増えないこともある

一定の要件を満たすマイホームを売却した場合は、所有期間にかかわらず、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

たとえば、マイホームの譲渡所得が2,000万円でも、3,000万円特別控除の要件を満たせば、課税譲渡所得はゼロになります。この場合、不動産売却による税負担が発生しないため、売却を理由にふるさと納税の上限額が大幅に増えるとは限りません。

ふるさと納税の試算は、特別控除を適用する前の売却益ではなく、適用後に残る課税譲渡所得を基準に考えることが重要です。

控除上限額は売却益だけでは決まらない

ふるさと納税の上限額には、給与や事業などの所得、不動産の課税譲渡所得、社会保険料控除、扶養控除、医療費控除、住宅ローン控除など、年間を通じたさまざまな条件が影響します。そのため、同じ売却益が出た人でも、家族構成や給与収入などによって上限額は異なります。

一般的なシミュレーターは給与所得者向けに簡略化されていることがあり、不動産の譲渡所得や特別控除を正確に反映できない場合があります。売買契約が成立しただけの段階で寄附額を決めず、取得費や譲渡費用、利用する特例を整理してから試算しましょう。

寄附の時期と確定申告にも注意する

不動産売却による所得が発生した年の控除に反映させるには、その年のうちにふるさと納税を行う必要があります。売却が年末に近い場合は、譲渡所得の見込みを早めに計算しておくことが大切です。

また、不動産売却について確定申告をする場合、すでに申請していたワンストップ特例は無効になります。ワンストップ特例を申請した寄附分も含め、すべてのふるさと納税を確定申告書に記載しなければなりません。

不動産売却益が生じた年は、ふるさと納税の控除上限額が増える可能性があります。しかし、基準となるのは売却代金ではなく、取得費、譲渡費用、特別控除を反映した後の課税譲渡所得です。上限を超えた寄附額は自己負担になるため、概算だけで限度額いっぱいまで寄附するのではなく、余裕を持って判断しましょう。相続物件で取得費が分からない場合や、複数の税制特例が関係する場合は、税理士や税務署への確認も必要です。

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